顔のない人形~「私メリーさん」

2/129
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
  チャラララララァラァン♪   着信だ・・・、 流行のアーティストの新曲が流れる。  「なんだ? この電話?」  ギャルっぽい格好したその少女は、 不審な顔して携帯を開いた。  「もーしもーし?」 ・・・雑音が多い・・・ どっからかけてんだ?  『・・・もしもし、私メリーさん、  私とお友達になって・・・?』 やや舌っ足らずの声がする。  「ハァ? なんだ、おまえ?  出会い系かなんかか?  わりぃけどこっちも女だ、  他、あたれ、じゃぁな。」 少女は「ばっかじゃねーの」とでも言うような顔で携帯を閉じた。  「・・・なんだあ?  今日子? おまえ出会い系やってんの?」  「ふぅざけろ!  あたしがやるか?  宣伝か勧誘だよ、  女の声で『私とお友達になって?』だと?  きもいよ、マジで。」 二人は新宿を歩いていた・・・、 別に二人は恋人同士というわけでも、 デート中というわけでもない。 強いて言えば高校時代からの悪友、 互いを異性として意識しているかどうかは・・・ 微妙。 男は今日子の買い物に付き合わされているだけである。 二人はただいま東口前の広場で休憩中、 冷たいドリンクでも飲みながら、 くっだらない仲間同士の噂話をしていたところだった。  
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!