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「助けてやってくれよ。また精気を吸われるのは後免だけど」
「大丈夫。私の力を分けるから」
お嬢の言葉に俺はほっと息をついた。助けるのはいいが、また襲われたのでは本末転倒だ。
お嬢は床に直接座り込んで、猫又をぎゅっと強く抱きしめ薄汚れた体に躊躇いなく顔を埋める。不思議な気持ちで俺はその姿を見ていた。お嬢が俺以外の化け物を助けるなんて初めてであった。俺以外のモノを抱き締める事に嫉妬を感じたのだろうか、とふと思う。余りに馬鹿馬鹿しい考えはすぐに振り捨てた。
お嬢が猫又から顔を上げると、お嬢の腕の中の猫又は小さな鳴き声を上げた。落ち着きのない子猫の様にお嬢の腕から這い出てくる白猫の傷は消えていた。さっきお嬢が抱えていた猫よりも小さくなっている気がする。
「回復したら、また戻る。今は力が足りないだけ」
お嬢はそう言って、子猫の姿になった猫又に手を伸ばした。猫又はお嬢の手を威嚇する。俺は猫又に触っても大丈夫なものか、少し迷う。いくらお嬢が力を分けたとは言え、俺は猫又に精気を喰らい尽くされそうになった。
「大丈夫。この子はもう村正を襲わない」
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