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好々爺の姿の氏神が言うと説教をされている気分になるから、俺の見た目が若いと言うのは不利を感じる。確かに人間の女に対しては俺の見た目は都合がいい。しかし、それはただの暇つぶしだ。娯楽でしかなく、人間に本気で関わる気など俺にはない。軽い苛立ちを感じていた俺の足元に何かが居る気配がして、俺は足元を見た。白い子猫が足元をうろうろしている。
「……猫又、迷子になるぞ」
いつの間にか部屋を出てきた猫又が俺の足元に居た。拾い上げようとすると、子猫の姿の癖に威嚇してくる。
「なんだ、そいつが噂の猫か」
威嚇する猫又をどう拾い上げようかと手を焼いている俺に、氏神は興味深そうに猫又を見ていた。そして、おもむろに猫又に手を伸ばす。俺ばかりを威嚇していた猫又は氏神にあっさりと首根っこを捕まれてつまみ上げられた。猫又は氏神に捕まえられて、威嚇する。しかし。
「猫、お前なかなか美人じゃないか」
両手で猫又を抱え、よく観察する氏神の前に大人しくなった。俺は「へえ」と思いながら氏神と猫又を見ていた。氏神は大人しくなった猫又を抱くと、そこらの猫を可愛がる様に撫でた。猫又は氏神の撫でる手に喉を鳴らしている。
「氏神、あんたの方が余程女たらしなんじゃないのか?」
俺はつい苦笑する。俺にもお嬢にも威嚇しかしなかった猫又はあっさりと氏神の腕の中で寛いでいた。
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