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「頭おかしくなりそうだよな、お前みたいな生き方してると。」
余計なお世話だ。
「私さ、自分って他の女の子よりだらしない方だなって自覚あるんだよ。
でも、諒司見て安心したの。」
「何の安心よ?」
「上には上がいるんだと思った。」
「お前ちょいちょい俺を落とすな。」
私達の会話は途切れなかった。
「そいや、なんて俺告白したの?」
「付き合ってって。」
「簡潔すぎだろ、もっと詳しく。」
「大事にするし、幸せにする。」
「は?」
は?じゃないわ。
「は?って何よ?」
「そんな事言ったの?」
「言ったってば、私嘘なんかついてないよ!」
これじゃ私が話盛ってるみたいじゃない。
「嘘ついてるとは思ってないよ。」
「稔のことも忘れるからって、まるで自分が被害者のように言ってたよ。」
「何それ、俺ひどいね。」
「ひどいよ、もう。」
あの時の状況を考えれば、酷いのはお互い様だったのよ、諒司。
何も覚えてない諒司に、そこまで教えてあげようとも思えないけれど。
「で、どうして断ったの?」
「断ってないよ。
諒司が今すぐ答えを貰えなきゃやだって言ったの。
私酔ってない時に話がしたいって言った。」
「なるほどね、それで俺が二度と連絡するなって始まっちゃったわけだ。
でも結果、良かったね、俺と付き合わなくて。」
「ほんとだよね。」
「そこは否定しろよ。」
「しないよ、なんでよ?
やだわ、こんな彼氏。」
私なら結婚もしたくない。
こんなこと声に出しては言えないけれど、奥さんを不憫にさえ思ってしまう。
会ってみて分かったこと。
私の諒司への気持ちは限りなくゼロに近い。
楽しかった、面白かった。
だけど、それ以上の何かはなかった。
きっとこの先も、私から会いたいと連絡をすることは無い。
諒司は・・・これからどうするつもりなんだろう。
「そろそろ門限かな?」
2時を過ぎた頃に、諒司が言った。
「そうだね。そろそろ帰ろっか。」
「・・・楽しかった。」
席を立った私に、諒司がそう言った。
「・・・私もだよ。」
本音だよ、私は。
でもずっと、やっぱり私たちは愚かだなって思ってる。
会うべきじゃないのに、私たちまた無意味に会って、なんて馬鹿なんだろうね。
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