第9章 それでも変わらなかったから

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「頭おかしくなりそうだよな、お前みたいな生き方してると。」 余計なお世話だ。 「私さ、自分って他の女の子よりだらしない方だなって自覚あるんだよ。 でも、諒司見て安心したの。」 「何の安心よ?」 「上には上がいるんだと思った。」 「お前ちょいちょい俺を落とすな。」 私達の会話は途切れなかった。 「そいや、なんて俺告白したの?」 「付き合ってって。」 「簡潔すぎだろ、もっと詳しく。」 「大事にするし、幸せにする。」 「は?」 は?じゃないわ。 「は?って何よ?」 「そんな事言ったの?」 「言ったってば、私嘘なんかついてないよ!」 これじゃ私が話盛ってるみたいじゃない。 「嘘ついてるとは思ってないよ。」 「稔のことも忘れるからって、まるで自分が被害者のように言ってたよ。」 「何それ、俺ひどいね。」 「ひどいよ、もう。」 あの時の状況を考えれば、酷いのはお互い様だったのよ、諒司。 何も覚えてない諒司に、そこまで教えてあげようとも思えないけれど。 「で、どうして断ったの?」 「断ってないよ。 諒司が今すぐ答えを貰えなきゃやだって言ったの。 私酔ってない時に話がしたいって言った。」 「なるほどね、それで俺が二度と連絡するなって始まっちゃったわけだ。 でも結果、良かったね、俺と付き合わなくて。」 「ほんとだよね。」 「そこは否定しろよ。」 「しないよ、なんでよ? やだわ、こんな彼氏。」 私なら結婚もしたくない。 こんなこと声に出しては言えないけれど、奥さんを不憫にさえ思ってしまう。 会ってみて分かったこと。 私の諒司への気持ちは限りなくゼロに近い。 楽しかった、面白かった。 だけど、それ以上の何かはなかった。 きっとこの先も、私から会いたいと連絡をすることは無い。 諒司は・・・これからどうするつもりなんだろう。 「そろそろ門限かな?」 2時を過ぎた頃に、諒司が言った。 「そうだね。そろそろ帰ろっか。」 「・・・楽しかった。」 席を立った私に、諒司がそう言った。 「・・・私もだよ。」 本音だよ、私は。 でもずっと、やっぱり私たちは愚かだなって思ってる。 会うべきじゃないのに、私たちまた無意味に会って、なんて馬鹿なんだろうね。
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