240人が本棚に入れています
本棚に追加
それから私は、3年前の楽しかった思い出を、また思い出すようになって、ヨシとも頻繁に会うようになった。
「またあの頃みたいに皆で遊びたいよね。」
ヨシは言った。
「うん。」
私はそう返したけれど、なんだか複雑な思いが消えなかった。
「ねぇ、ヨシ・・・私たち何も変わらないね。」
私の中で芽生えた違和感。
もう、彼らと会ってちゃいけないと思う気持ちと、会いたい気持ち。
「別にいいんじゃね?ダメ?」
「楽しいのはいいけどさ、いや別に私とヨシはいいよ。
でも諒司と私がまた会って、それでいい事なんてきっと無い。」
「あれから一回だけだろ?会ったの。
何かあったわけ?」
「そうだね、確かに2回目があるとも限らないしね。
いや何も無いよ。思い出話しただけ。」
「美咲はさ、危険なことが大好きな体質なんだよ。
良くないこと、危ないこと、そういうのに自ら足を突っ込むっていうか・・・」
「あぁ、分かる気がする。」
「いつまでも春野は美咲にとって、クズだけど魅力的なんだろ。」
随分と的を得てると思った。
「でも結婚してる男に興味はないな。」
「しててしてないようなもんだろ。」
「同じ女として、やっぱそれは奥さんが不憫だよ。
私が言えたことじゃないけど。」
「美咲、そういうの気にする質なの?」
何がいいことで、何が悪いことか、善悪の区別はつくつもりだ。
でも悪いことを重ねてきた私にとって、感覚が麻痺しているのは、もう誰から見ても明確だろう。
私きっと罰が当たる。
いつもいつもそう思ってた。
真剣になってくれた人へも思わせぶりな態度をとって、気持ちを踏みにじったことー
そんな事を思い出して、自分がクズに思えた。
諒司との次回の約束なんてしてない。
でも私は、なんだか2回目があるような気がしてならなかったんだ。
そして、きっと私はまた会うんだ。
最初のコメントを投稿しよう!