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諒司は叩かれてるのにケラケラ笑った。
「何がおかしいのよ、何もおかしくないからね。」
「あはは、嘘嘘、美咲はいい女だよ。」
「適当なことばっかり言って。」
「運転して?」
「まさか飲んでるの?」
「ううん、俺運転嫌いなの。」
だからわざわざ外に出てたのね。
「どうしよ、じゃあそこの公園の駐車場でいい?」
「どこでもいいよ。」
2分もしないうちにつく駐車場に、私は車を停めた。
本当は、私のアパートの前にも駐車場がある。
しかも駐車場1台付きだから、車を持っていない私の駐車場は空いてるんだ。
でも、わざわざ公園まで移動した。
「ねぇ、少し外出ない?」
私はちょっと諒司と公園を歩いてみたくてそう言った。
「やだよ、寒いもん。」
「さっき外でタバコ吸ってたじゃない。」
「そう、そん時すっげー寒かった。」
真冬でもあるまいし。
まだー
「金木犀・・・あるかな。」
「窓開けてみれば?」
「ううん。」
ぱっと見、木なんて近くにないし、こんな距離じゃきっと香りも届かない。
「好きだな、金木犀。」
「最初にキスしたのも金木犀拾った時だったよ。」
私は何を言ってるんだろう。
「・・・拾うか、普通。」
諒司はなんてことなく、でもちょっと間を空けてそう言った。
「あはは、確かにね。
でも可愛いじゃない、小さくて。」
諒司と話してると時間が経つのがあっという間だ。
私たちはいつも同じ話ばかりする。
「美咲はいつ結婚するの?しないの?」
「するよ。」
いつになるのかわからない、私の結婚。
でも、結婚願望がないわけじゃないんだ。
「諒司はなんで結婚したの?」
「プレッシャーかな。」
「へー。」
「興味無いなら聞くなよ。」
「無いこともないけど、諒司と結婚って、結びつかないんだよね。」
「俺も。」
「子供は?」
「セックスしてねーからな。」
「嘘でしょ?」
「いやいや本当に。
だって何年も付き合ってきて今更出来る?」
「セックスレスの分かりやすい例を見た気がしたわ。」
本当は『それでよそで済ませてんだからどうしようもないね』って言おうとしたけど、私は言わなかった。
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