第9章 それでも変わらなかったから-2

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「いちゃいちゃならしてるよね?」 私は真顔で諒司に聞いた。 この車の中でキャーキャー騒いでる今のこの状態を、いちゃいちゃと言うのではないだろうか。 「してるね。」 「でしょ。」 「本当お前嫌い。」 なんだか諒司が可愛く見える私は、また暴走気味なのだろうか。 「嘘だね、諒司は私のこと好きだよ。」 「好きだよ、お前のテンションがな。」 「テンション?私じゃなくてテンション?」 「そう、テンション。」 「・・・テンションならお持ち帰りも自由ですけど?」 「美咲本当にお前は・・・」 もうこれじゃ、ムードもへったくれもない。 2人でお腹抱えて笑って、さっきまでの空気もぶち壊されてしまった。 「美咲、今度デートしよっか。」 「これもデートじゃないの?」 「昼間のデートだよ。」 諒司、覚えてる? 前にもその約束したこと。 「あぁ、昼間か。 うん、そうだね。」 「渋谷もまだだしな。」 私の心臓がバクンと波打った。 「覚えてたんだ。」 「うん。」 諒司が珍しく、気まずそうに答えた。 「前はその辺のこと何も覚えてないって言ってたのに?」 「・・・やっぱ俺お前嫌い。」 「私の方が諒司のこと嫌いだよ。」 2人でぎこちなく笑ってー ねぇ、諒司。本当に私は何年経っても諒司が分からないよ。 何を思って、どうしたいのか。 渋谷のことを覚えてたってことはきっとー・・・ どこまで本当は覚えてるの? 私は、車のエンジンを掛けた。 自制がきかなくなったら困るから。 「俺、美咲の門限やなんだけど。」 私が車を降りる直前に諒司は言った。 「あはは、仕方ない仕方ない。 私も諒司とまだ居たいよ。」 私たちは本当に変わらない。 3年前あんなに傷ついたのに、何も変わってなんかいなかったんだ。 笑顔で別れた後、私は『私からは連絡をしない』という小さなルールを設けた。 『二度と連絡をしない』というルールを作れなかった私は相変わらず弱い。 諒司みたいな遊び人だからって、諒司が結婚してることを忘れてはいけないはずなのに。
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