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「何・・・?」
「美咲、一旦お開きにしてくるから、お前待ってろ。2人で話そう。」
「ねぇ合コン中でしょ。そんな事しなくていいよ。」
「じゃあ連絡先教えて。
まだここにいるの?つーか居ろ。」
「え?なんでよ、帰りたい。」
「俺達が移動するから。
解散したら連絡する。それで俺だけ戻ってくるから。」
「分かった。何を話すつもりなの?」
私の心臓が嫌な風にドキドキし始めた。
私は電話番号を小声で伝えた後、「嫌な話はごめんだから」と呟いた。
「長くなるからさ・・・。
ごめんな、俺が思わず名前出しちゃったから。」
翔太くんの後ろを見ると、明らかに敵意をむき出しの女の子と目が合った。
「いや、これは諒司のせいでしょ。」
「まぁ。とにかく居ろ。な?」
「分かった。」
翔太くんが女の子たちを宥めながら席に戻ると俊ちゃんが私の方へ来た。
「片思いの美咲って、美咲さんの事なんですね、こんな偶然あります?」
「面白がらないで。
そもそも美咲が二人いるってオチかもしれないんだから。」
「そーかなぁ・・・。
とりあえず、まだ帰らないってことでいいんですよね?」
「・・・うん。」
手の空いたタケさんがやっと私のところに来ると、「修羅場を想像してたのに。」と笑った。
「もう、全員に丸聞こえじゃないですか。」
「大丈夫だよ、酔ってる客の話は従業員とおひとり様しか聞いてないから。
しかもあの席お勘定したから大丈夫だよ。」
タケさんまで面白がってるし。
4人が帰るとき、私はずっと背中を向けたままだった。
突然女の子に引っぱたかれたりしてー
そしたらどうしよう。
「美咲。」
諒司の声に私はビクンと反応した。
「何?」
翔太くんも女の子たちも総出で私たちの会話を聞いてる。
「お前も来る?」
「・・・諒司、なんであんたはそんなに自由人なのよ。」
「いや、来るかなぁって。」
「行けるわけないー」
「ーなんでこの子は『諒司』って呼んでいいの?」
あぁ不覚だった。
無意識だった。
それにしても、このマイちゃん大分お酒が入ってて感情的になってる。
私、何故か凄く冷静に、諒司が面倒臭がってマイちゃんに冷たい態度を取るんじゃないかってヒヤヒヤしてた。
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