第9章 それでも変わらなかったから-2

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「怖いよ、それ。自己中な男だね。」 そう言いながら、妙に納得してしまう。 「稔言ってたぞ。悪びれる様子もなく。」 「何を?」 「本当は好きなくせにかっこつけて、『美咲のことなんてどうでもいい』っていう諒司を茶化したかったって。」 「・・・そう。」 「諒司は最初、他の女でよくね?ってはぐらかしてたらしいんだよ。 それを稔が、美咲のことどうでもいいなら別にいいじゃんって。」 「でもさ・・・結局諒司はその話を飲んだんだから・・・。」 本当に好きなら、そんなことさせないでしょう。 「ここから先は諒司の話な。 お前が振った日、諒司は半べそだった。」 「半べそなんて大袈裟な。」 「大袈裟なんかじゃねーよ。 稔に話を吹っかけられた時、諒司は自分が美咲を好きなのを認めるのが怖かったって。 ずっと美咲にどうにか抵抗して欲しいって思ってたって。 あいつはさ、不器用だけど、今でもあの日のこと後悔してるよ。」 「あの日のこと、諒司は忘れてたんだよ。」 「照れ隠しだろ。」 「そんなの分からないよ。」 「いや、照れ隠しだね。 今でも言うもん。 あの日がなければ一緒に入れたのにって。 あいつお前と渋谷に行くの楽しみにしてたんだよ。」 どうして今更ー・・・ 私は今かなり酔ってる。 諒司が今目の前にいたら、私は過ちを犯してしまいそうだ。 「私も・・・渋谷楽しみにしてた。 あのね翔太くん・・・私もずっと後悔してたんだよ。」 二人で過ごした1年間。 やっぱり思い出すのは、ピアノのこと、将棋のこと。 普通のカップルみたいに過ごしてきた時間。 どっちかにほんの少しの勇気があれば、私達は付き合ってたのかもしれない。 「美咲、思い出したくないだろうけど、あの後稔、1人で美咲のところ言ったんだってな。」 「うん。」 「稔は多分、諒司がまともに恋愛し始めたことをよく思ってない。 あいつは諒司を元に戻したかったんだよ。 あの日、稔は『美咲にひどいことするから見に来いよ』って呼び出したらしい。」 色々な辻褄が合った気がした。 「・・・あの2人親友なんじゃなかったの?」 「腐れ縁みたいなもんなんじゃねーの。」
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