第9章 それでも変わらなかったから-2

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「腐れ縁ね。」 「稔のことは確かにお前を傷つけたかもしれないけど、それなら俺が謝るから、諒司のこと分かってやって。」 あの日も言ってたね、諒司を許してやってって。 「・・・もう半分忘れちゃったよ。」 確かに傷ついたかもしれない。 確かに悲しかったかもしれない。 でも、3年だ。 「諒司は本当にお前が好きで好きで、理解出来ないだろうけど・・・」 私は、なんでか翔太くんの言うことなら信じられる気がした。 「・・・じゃあ私が諒司をまた好きになったとして、晴れて両思いになったとして、二人は付き合うことになったとして・・・。 それって不倫だよ。」 「お前も諒司も、バカでクズなままじゃダメなの?」 何も返せなかった。 それでもいいような気がした。 私達はずっとこうやって、半端なままグダグダしててもいいような気がした。 諒司に会いたかった。 会いたくて仕方がなかった。 「・・・諒司どこで飲んでるの?」 「すぐそこ。 ほらこの道の角にあるバー。」 なんだか笑っちゃう。 私、そこにもタケさんや俊ちゃんと飲みに行ってる。 私のテリトリーに容赦なく入ってくるんだから、諒司は。 「私ー」 私ー何? 「まだ居るよ。 俺、美咲に会いに行くって言ってきたから。 多分あいつお前が来るの待ってるつもりだよ。」 「最低だ、私。」 「最低なのは俺も、諒司も。」 「ねぇ私・・・」 私は次の言葉を言わずに黙った。 私はずるい。 翔太くんに「行ってこい」って言わせたかったんだ。 自分で言ったら、罪が重くなる気がしたから。 翔太くんは、私のことを見て、見透かしたように笑った。 「行ってこいよ。」 「・・・ん、行こうかな。」 「分かる?場所。」 「分かるよ。」 タケさんや俊ちゃんがもしもカウンターに居たらー 翔太くんの声のボリュームが大きかったらー 私はきっと体裁を気にして、行かなかっただろう。 最低だな本当に。 どこまでいっても、私は、私のままだ。
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