第9章 それでも変わらなかったから-2

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弱い私の小さな小さな誓い。 それは諒司とは『今日限り』にすることだった。 なら、諒司に素直に甘えたい。 普通の、本当に普通のカップルみたいなことがしたい。 今だけでいい。私は彼女の気分を味わいたい。 「ヒアルロン酸でいいじゃん。」 本当に適当なんだから。 「ヒアルロン酸以外にしよーっと。」 「姫の好きにしなさいな。」 結局ヒアルロン酸の入浴剤を選んで、私たちは部屋に向かった。 あぁ、やっぱり少しドキドキするな。 「美咲、今日は珍しく酔ってるね。」 「まぁ色々ありまして。」 片思いがどうとかー 稔がどうとかー 諒司は翔太くんが私に話してしまったことを分かってるんだろうか。 「腹を割って話しましょうよ。」 私はソファに座るなり、タバコに火をつけてそう言った。 「腹を割って? 翔太から聞いたんだろ。どうせ。」 「聞いたよ。」 「翔太の言う事信じたんだ。」 「稔が私のこと好きだとかそういうのは信用しにくいけどね。」 そういった後、諒司は稔のくだりをどこまで知ってるのかと一瞬焦った。 「初めて俺らが4人で会った日、途中でお前らトイレ行ったろ? その時、美咲を狙いたいって稔に宣言されてたんだ。」 「でも、そんなの軽い気持ちでしょ?」 「その時はな。 でもあいつは美咲と会いたくて優梨ちゃんとくっついたんだよ。」 「・・・え?」 「最初の頃暫くは、ずっと、美咲の話しかしてなかったよ、あいつ。」 「そんなのって優梨にも酷いし、勝手すぎる。」 「あの状況で、優梨振り切ってまで美咲に行くか? しかも俺だって・・・お前が良かった。」 嘘?本当? いいか、今日くらい諒司を信じよう。 腹を割って話す気なんだと。 「美咲、やり直そうよ。」 やり直す?何を?どこから? ・・・始まってもなかったじゃない。 酔い過ぎたかな、泣きそうだ。 「あの日から?」 「出会った日から。」 「長いよ。」 私は小さく笑った。 「じゃああの日からにする?」 「やっぱり・・・忘れてなんかなかったんだ。」 「全部覚えてるよ。」 「私だって覚えてる。 なんで香水変えちゃったのよ。私はそんな細かいところまで覚えてる。」
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