【最終章】

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これから、僕の地獄の幕が上がるのかーー。 僕の地獄への物語だ。 男の体に女の心で生まれ苦しみ抜いて人格を分裂させて、今度は少女のような体に罪を背負い、男として生きて行く。 これから僕は結子の骸を纏い、死刑に成りいつか死ぬ日の為だけに生きて行くのだ。 僕は何の為にこの世に生まれてきたのだろう? 僕はどうして生まれて来たんだ? これも全部、人を見た目や性別でしか判断できない人間達が悪いのだ。 僕の中に、今までに無いような、ドス黒いヘドロのような感情が広がっていくのを感じた。 人間達を許せない。肉切り包丁なんかじゃダメだ。もっと多くの人を殺せる物、一滴で沢山の人間を殺せる猛毒に僕はなりたい。そんな、どうしようもない悪意が心の底から湧き上がり、全身を満たしていく。この衝動は僕の力ではもう止められない。オセロが大逆転し、シロクロ疎らだった物から、全て真っ黒に変わるように、自分が一気に変わっていくのを感じた。 ーー僕の全てが黒になる。 結子、僕はまだ、君を苦しめ、僕を生み出したこの世界を許せないよ? 亡き結子に問う。 僕は怒りに任せ、もうどうなっても良いと、自分の全てを爆発させようとしていた。 この時、僕は分かった。 僕にとって結子とは、護るべき主人格というだけでなく、僕の良心その物でもあったのだ。だからこそ僕は、結子を必死に護ろうとしたのかも知れない。だが、その結子ももう居ない。僕は結子と共に、人としての最後の良心さえ失ったのだ。完全に狂った悪意その物となったのだ。結子を奪った黒い腕の悪魔、それは単に結子に訪れた死の象徴ではなく、きっとこの僕の怒りその物でもあったのだ。僕は結子を失い、僕が新しい結子になるんだ。 今度の結子は、もう優しくは無い。もう僕は名前の無い『僕』ではない。 僕が新しい結子なのだ。 ーーそう思った時、僕の体に異変が起きた。
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