【序章】

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ーーはじまり、それは警察への一通の電話からだった。 知り合いが連続殺人に関わっている。ーーという物だった。名前は一切名乗らなかった。そして、自分もそいつに殺されるかも知れないと男は怯える声で言った。物騒な話なので詳しく内容を訊いてみるが、どうも男の話は意味が分からない部分が多く、警察の訪問も要らないという事だったので悪戯として処理された。だが男は数日空けて、また電話して来た。 何度かそんなやり取りをして、さすがにこれは業務妨害だと厳しく口頭で注意した。それから暫くは男からの電話は無くなったが、忘れた頃にまた電話があった。だが今度は、連続殺人犯だという男の名前と年齢を言った。そして、いいから来てくれ、そうすれば分かる、と場所も指定して言って来た。そこには男の話を裏付ける、決定的な物があるというのだ。それが何かは言わなかったが、そこまで言われると業務上、一応は確認に行かねばならず、警官達が言われた場所にとにかく向った。 連続殺人犯だと言われる男をAと呼ぶ事にする。 なぜAなのか? 理由の一つは、彼が19歳のまだ未成年だという事であり、現段階ではそんな事件を起こした確証が無いからである。それと共に、Aという人間の居る信憑性自体も疑われていたからだ。そんな少年は、居ないのかも知れない。
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