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だからこの日も、俺は、会社からの帰りにコンビニで弁当を買い、
やっと少しだけ自宅と思えるようになった超高層マンションへと戻ってきた。
ところが、玄関から続く廊下を抜け、
弁当をダイニングに置こうと入って行った時、キッチンから声をかけられた。
「あっ、お帰りなさい」
「えっ? あ、はあ、ただいま……」
そして、なぜかいそいそとした様子で、キッチンから出て来た彼女に
笑顔で尋ねられる。
「あの、そのお弁当、
冷蔵庫に入れておいたら、一日くらいもたないですかね?」
へっ?
あまりにも唐突な質問に、俺は、当たり前ながらキョトンとする。
その目の前で、彼女の笑顔に、なんともバツの悪さが浮かび上がった。
「実は、今夜はシチュウにしようと思って、
ちょっとぼんやり作っていたら、なんだか作り過ぎてしまって。
あの、もし嫌いでなければ、一緒に食べて頂けたらなって思うんですけど
どうでしょうか?」
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