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そして王子から離れた姫の目はもうあの綺麗な姫の目でありませんでした。
例えるのなら悪魔や怪物のようです。
「そんな……」
王子は徐々に変わりゆく姫の姿に驚きを隠せません。
「私は破滅の忌み子。100年間この城に囚われていた呪いの存在。この世界を破壊する前に…お願い!早く!」
姫は戸惑う王子に言い放ちました。
「わかったよ」
王子は姫の手を引いて自分の方へと引き寄せました。
「えっ、どういうつもりなの?」
「君を殺すのさ」
王子は姫を抱き窓から飛び出したのです。
一瞬ではあったものの姫の目には今まで見えなかった広大な外の世界が広がりました。
世界は美しい。壊してはいけない。
姫は人間の心でそう思いました。
そして二人は自然の摂理で茨の大地へと落ちていきました。
姫は王子の腕の中で言ったのです。
「ありがとう……」
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