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突然だ。
キレたおっさんが声を荒げると、止まっていたはずの噴水がビュッと音を立て天へと吹き上がり、その水が放物線を描きながら俺に向かって一直線に飛んできたのだ。
危ない、間一髪で免れたがまともに攻撃を受けたら明日着ていくスーツがない。
替えのスーツは昨日クリーニングに出したばかりだ。
「まったく、これだから今時の若者は…
いいか?もう一度だけ聞く。これが最後のラストチャンスだぞ?」
「は、はぁ…」
いやいや待て。最後のラストチャンス?おっさんそれじゃ“頭痛が痛い”と同じだぞ?
「お前がなくしたのは、金の池田か銀…」
「親友の池田です。」
「…ぎっ、銀っ」
「正確には、“親友だった”池田です。」
「…こ、こんにゃろ~…」
「…え?」
「人の話を~」
「…は?え?」
「最後まで聞けぃっ!!」
「うわぁっっ!」
酷い話だ。
正直に答えたのに結局水を掛けられた。
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