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「な、何するんだよ！ちゃんと答えたじゃないか！」
「あぁ、ごめんごめん、ちと手元が狂ったな…すまん…」
「すまんって…謝って済む問題か！？」
どうしてくれるんだ？ズボンの前がびしょ濡れだ。
俺が凄むと、おっさんはバツが悪そうにモサモサの頭を掻いた。
恐らく俺がまた避けると思ったんだろう。だが予想に反して水が掛かってしまって申し訳ないと思ったらしい。
その辺の常識は多少はあるようだ。
「ところであんた一体誰なんだ？池田の知り合いか？」
「池田の知り合いではない。わしは…見て分からんか？」
「分からないから聞いてるんだ！」
「あ、あぁ、そうか…すまんすまん…」
さっきの勢いのまま強気な態度に出ると、おっさんは益々申し訳なさそうにした。
なんだ、モジモジして。ふふ。ちょっと可愛く見えてきたな…
いや、危ない、騙されるな。これがこのおっさんの手口かもしれない。
「で？あんた誰なんだよ？」
「わしは、迷える旅人を救う神“ヘルメース”
お前に真実を伝えに来た。」
「へ、ヘルメース？」
あんた何人だ？どう見ても日本人じゃないか？
迷える旅人？俺旅人じゃねぇし。ただの帰宅途中のサラリーマンだし。
しかもどうして旅人を救う神が真実を伝えに来る？
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