真実の水面

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. 「…池田の真実って何だよ?」 家に着いて風呂に入り、スーツのズボンにアイロンを掛けながら、おっさんの話を思い出していた。 真実もへったくれもない。それは実にシンプルな話だ。 一週間前、俺は池田と縁を切った。 俺の彼女、安藤レイナと付き合っているなどと、アイツが突然宣ったからだ。 要するに親友に彼女を寝盗られた、ただそれだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。 高校の時からずっとツルんでいて、唯一無二の親友と信じてきた男に裏切られた。 半年前に合コンで知り合って一目惚れして、可愛くて大好きで、大切過ぎて指一本触れられなかった彼女を奪われた。 ただそれだけだ。 「クソ…また思い出したじゃねぇか…」 鼻の奥がツンと痛い。忘れようとしてたんだ。涙が出るほど悔しくて頭に来て。 だけど本当は親友と彼女を二人一遍に失って、悲しくてやりきれなくて、神にも縋りたい気分だったんだ。 「だけど…あれが神?…胡散臭い…」 しかし、しかしだ。 確かに胡散臭くはあったが、おっさんの話に思いあたる節はあった。 .
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