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目が覚めると真っ暗な場所だった。自分の手先すら見えないほどの暗闇。自分がどうしてこんなところにいるのかはっきりと覚えていない。
確か俺の部屋でビールとスーパーで買った惣菜でささやかな祝杯を挙げていたはずだったのだが。
記憶を呼び起こしているとこめかみに痛みが走る。頭もなんだかぼんやりとしていた。
すぐ近くで何かが動く気配がした。
それはゆっくりと動いた後辺りをうかがっているようだった。
「誰かいるの?」
聞き覚えのある声。
「由紀」
声の主恋人の由紀に声をかける。
「秋也。そこにいるの?」
「ああ。いるすぐ側だ」
だんだん目が暗闇に慣れてきたのか1メートルほど先に人の姿がぼんやりと確認できた。
由紀の場所に近づいて手を取る。
「よかった。一体どうなってるの? ここはどこ?」
「それは俺にも分からない」
なるべく由紀が不安にならないようにと手を強く握る。由紀も強く握り返してきた。
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