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“夜の水族館を訪ねてみませんか?”
仕事終わりにスマホをいじっていたら、なにか強調するために施してあるわけでもないのに、その一文がやけにくっきりと目に入った。
日付を見ると……どうやら今日らしい。
僕は、無性に夜の水族館を見てみたくなって、思わず帰る方面とは違う電車のホームに足を運び、運よくやって来ていた電車に飛び乗った。
……とりわけ水族館が好きというわけでもないし、魚類が好きというわけでもない。
ただ、なんだか……見てみたくなったのだ。いつもと違う光景を。
毎日せわしなく働き続け、毎日同じ日々を生きる僕はきっと、飽き飽きしていたんだ。
ちょうど空いていた席に腰掛けると、窓越しに沈んでいくオレンジ色の夕陽が見える。
いつものスーツ、いつもの鞄。
そんな日常の中の、いつもと違う窓の景色。
なんだか僕は、久しぶりにワクワクしていた。
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