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そして、気が付くと、車両には誰もいなくなっていた。
どうやら結構長いこと、眠っていたらしい。
あわてて行先を示すモニターを見る。
するとそこには、見慣れない文字が。
「夜の水族館、空経由……?」
空経由。どういう意味だろう。
そんなことを思って窓の外を見る。
「う、浮いてる!?」
あわてて身体を窓の方へと向きなおすと、確かに、車体が浮いている。
家の屋根が見えるのだ。
「う、ウソだろ……」
もうすぐで完全に沈んでしまうだろうという夕陽が、街を照らす。
人も、車も、家も、どんどん遠ざかっていく。
周りを見回してみても、誰もいない。
「働きすぎて頭でもおかしくなっちまったのか……?」
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