第1章

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「……そこまで言うなら花ちゃ……花さんだって欠点くらいあるんじゃないの!?」 二宮君の声が震えています。一体どうしたのでしょうか。 「もちろんあります。欠点がないわけないじゃないですか」 「意外っす……意外ですね」 この方々は私を一体なんだとおもっていらっしゃるのでしょうか。先輩方に多少の欠点があったように、私にだってあります。 二宮君と人体模型さんは息を呑んで見守ります。 私もそれほど大した欠点ではないよですが……。 「最近気が付いたのですが。どうやら私、人間にはあまり見えないようです」 「……へ?」 二宮君が腑抜けた声を漏らします。 「特別霊感が強い方でないと見えないようです。今のところ、私を認識できた人間は二人だけです」 暫しの沈黙が生まれます。何か変なことでも口走ってしまったでしょうか? 「花ちゃんてもしかして…ポンコ」 「何か言いました?」 笑顔で二宮君の方を向くと、身震いをして突然立ち上がりました。 「じ、人体模型!なにやら人間が来そうだ、多分!いや来てください!だから行くぞ!」 「り、了解っす!」 そう言って二人は音楽室を飛び出してしまいます。慌ただしい人たちです。 「あっ、ニノさん!廊下は走っちゃダメっす!……本当に三秒なんすね」 「う、うるさい!」 二人の会話も段々と遠くなり、ついには聞こえなくなってしまいました。 二人が行ってしまったので自然と会議は終了です。私は書記として議事録でも纏めますか。それにしても……。 「夜が明けたら平日の月曜だっていうのに夜更かしで肝試しなんて……。人間は本当に恐ろしい生き物ですね」
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