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私は座席へ座ると、呼吸がいささか苦しいのに気が付いた。
「さあ、ゆっくりと目を閉じて」
私は白亜の言う通りに座席で、目をゆっくり瞑ると、鉛色の空だった天空から、眩しい陽光が照って来たようだ。私の顔に午後の優しい暖かみが触れる。
電車が静かに走り出すと、またあの声が頭の中で聞こえる。
「しっかりしてください」
私は目を開けると、そこには乗客と白亜が、座席からずり落ち、呼吸が乱れていた自分を心配していた。
「ここは?」
「しっかりしてください」
そうか、私は笑った。
いつもの発作だ。
しかし、なんてリアリティのある夢を見たのか。
そして、現実にも私と白亜は若返っていた。
これも夢なのだろうか。
白亜がいるのだから、どうでもいい。
物語は終わりを告げ。そして、始まった。
そうだ。別れたのは京急線で、再び出会ったのも京急線だったのだ。
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