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鬼は外福は内。
私は念じながら拳を190センチで、恐ろしい鬼の顔面を殴った。
身長も体重も相手の方が上だと、嫌という程思い知らされた。
鬼は血で汚れた牙から血を流し、私に体当たりをする。
私の肺は悲鳴をあげる。
息苦しさが私を襲った。だが、私は倒れなかった。
よく見ると、胸の辺りに鮮血が滲み出ている。
鬼の角が深く突き刺さっていた。
白亜は少し離れた場所で、鬼は外福は内と念じながら、無人のホームに佇んでいた。
私は再度、無我夢中で鬼の顔を力一杯殴っていた。
鬼の口の周りは、血で真っ赤になった。
「鬼は外福は内! 田島さん! 逃げて下さい! 電車の中にお入り下さい!」
私には恐れは何もなかった。
胸の辺りの血が、全て流れるとも。相手を殴った。
とうとう、鬼は後ろを向いて逃げていった。
「老後に会いましょう。そして、幸せになりましょう」
私は白亜に別れを告げ、京急線の電車に乗った。
ドアが後ろで閉まった。
私は電車が走り出すまで、白亜を見つめていた。
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