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いつもの居酒屋で待ち合わせ。店に入って、きょろきょろする友人にカウンターから手を振る。
友人の伊藤まちかが私を見て、驚いて駆け寄ってきた。
「こりゃまた、思い切ったものね。頭小さくなったなぁ」
と私(斎藤さな)の頭を撫でる。
「うん」
施術中は縛るけど、背中まであったストレートの髪をバッサリ切った。前髪は眉の上、襟足スッキリのショート。頭は軽いけど、やりすぎたかな、寒いの。
客の男に襲われてから、ちょうど二週間経った。その間、店舗を移動したりしたこともあって、バタバタして少し落ち着いたところ。
「心機一転するの、これくらいしか思いつかなくて」
まちかが私の襟足に手をやると、ぞくっとした。
「ひぁっ」
「あんたさ、うなじ弱いクセにさらしてどうするの」
「あはは、ねぇ。まぁ、髪は伸びるから」
「考えなし、猪突猛進っていうよね」
「ウルサイ、これでも傷ついてんのよ? なぐさめてよ」
まちかは眉をひそめて、ふぅとため息をついた。
「まぁね。髪切ったぐらいじゃ、吹っ切れないよね。正直、私も怖くなったもの」
「うん、女性専用サロンに移動させてもらえてちょっと、助かった」
あの後、一日休みがもらえて、次に出社したらチーフから女性専用サロンへの移動を打診された。
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