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 ――退廃的だな。  何処かチグハグな彼女を、僕はそう印象付けた。  彼女はぼうっと窓の外を見ていた。  僕もつられて窓の外を見る。  そこには夕日に塗りたくられた山の景色があった。  木の一本一本が一辺倒な色に塗りつくされ、暴力的に色で支配された山々がずっと続いていた。  何の変哲もない。このあたりでよくある景色だ。  やがて、その景色が轟音と共に黒に替えられた。  トンネルに入ったのだと気付くのに、そうかからなかった。
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