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千尋は、暴走してくる車に気が付き、とっさに僕の体を突き飛ばしたようだ。
耳が聞こえない僕は、暴走してくる車に、まったく気が付かなかった。
僕の耳が聞こえていたら、状況は変わっていたかもしれない。
そう思うと僕は悔しくて悔しくて、やるせない思いでいっぱいだった。
千尋の両親に会ったとき、僕がこのことを正直に伝えると、千尋のお父さんが、
「ひろし君は、何も悪くないよ。
悪いのは、飲酒運転で暴走した車の運転手だよ!」
といって、僕を慰めてくれた。
耳が聞こえなくなってから千尋に励まされて、やっと前向きな気持ちになって頑張ろうとした矢先の事故だった。
なぜ、こんなに不幸なことが続くのか、僕は、いたたまれない気持ちでいっぱいだった。
僕は、これからどうしたらいいのか、何も考えることができず、何もやる気が起きない状態になった。
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