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僕は、ふと千尋が以前連れて行ってくれた福祉施設に行ってみることにした。
まったくの気まぐれである。
施設には、以前一緒に遊んだ子供たちがいて、僕のことを覚えてくれているようだった。
子供の中に、体が不自由な中学2年生の「結衣(ゆい)」ちゃんという女の子がいて、僕に話しかけてくれた。
結衣ちゃんは、僕が耳が聞こえないことを知っていて、スマートフォンに文字を入力して僕に見せてくれ、僕もスマートフォンで返事をするというスマートフォンを使った会話になった。
「ちーちゃん、死んじゃったんだね!」
僕は答えに困ったが、
「千尋は、僕をかばって交通事故に遭ってしまったんだ。」
と正直に結衣ちゃんに話をした。
すると結衣ちゃんが、
「ちーちゃん、いつも言ってたよ。
体の不自由な子供たちが、生活しやすい環境にしたいって!」
と話してくれた。
僕は、
「そっか、千尋はそんなこと言ってたんだ!」
と返事をした。
千尋がボランティアをしていたことは知っていたが、千尋はなぜ、どのような思いでボランティアを続けていたのだろうか?
僕は、その答えを知りたいと考えた。
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