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僕は、施設で働く望月さんという手話ができる職員の方と話をすることができた。
望月さんは、千尋がボランティアで施設を訪問した時、よく一緒に仕事をしたとのことだった。
望月さんは、なぜ千尋がこの施設でボランティアを始めたのか、千尋から聞いたという話をしてくれた。
千尋は、旅行社で働いていたとき、ある家族の旅行プランのサポートをした。
この家族は、ご夫婦と1人の娘さんがいたが、この娘さんは体が不自由で、車いすで生活をしていた。
このため、障害者がいる家族に優しい旅行プランを紹介する必要があった。
しかし、旅行先では、障害者に対して必ずしも優しい環境であるとは限らないという事実に直面し、大きなショックを受けていたとの話しだった。
この時の家族の体が不自由な娘さんが、この施設にいる結衣ちゃんとのことだった。
僕は望月さんに、この施設でボランティアをやらせてほしいとお願いした。
僕は、千尋が障害のある子供たちのためにやろうとしていたことを、僕もやってみようと考えた。
僕の力でどこまでできるか全くわからないけれど、今生きている僕にできることは何でもやろうと思った。
それが、僕の命を助けてくれた千尋への恩返しだと考えることにした。
千尋は、きっと僕と子供たちのことを、天国から見守ってくれているに違いない。
僕は、千尋の思いを遂げるために努力することを心に誓った。
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