大切な人

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ある日の朝、僕はすこぶる体調が悪く、熱を測ってみたら40度を超える高熱だった。 病院嫌いの僕だったが、さすがに熱が高いため病院に行って診察を受けると、インフルエンザと診断された。 会社の上司に事情を話すと、1週間ほど休むように指示された。 また、千尋にも連絡して、今週は会わないほうがいいと伝えた。 千尋は心配してくれて、 「看病しに行くよ!」 と言ってくれたが、僕は、千尋にインフルエンザをうつしたくなくて、自分で何とかなるから大丈夫と伝えて、千尋は僕の部屋に来ないようにと念を押して伝えた。 僕は、3日間程高熱が続いたが、4日目あたりから熱が下がって、体が楽になってきた。 そろそろ会社に出社しようと思ったある日の朝、僕は目を覚ますと目覚まし時計の時刻が、起床時間を大幅に過ぎていることに気が付いた。 (あれ、目覚まし時計のアラームのセット忘れたのかな?) そう思って、目覚まし時計を確認したが、アラームの設定はきちんとできているようだった。 目が覚めて頭がはっきりしてくると、僕は周りが異様に静かだと言う事に気が付き、何かがおかしいと感じた。 僕は、テレビのスイッチをオンにしたが、テレビの画像は映し出されたが、音がまったく聞こえないことに気が付いた。 音量を大きくしても、まったく音は聞こえなかった。 僕はこの時、耳が聞こえないようだと気が付き、大きな不安を感じた。 会社に電話することもできず、まずは急いで会社に向かうことにした。 会社に向かう途中、駅の喧騒や電車が走る音など、一切聞こえなかった。 (いったい僕は、どうなってしまったんだろう?) 不安は大きくなるばかりだった。 会社に到着すると、僕はさっそく上司の席に向かった。 上司が僕に何か話しかけているようだったが、何も聞こえない僕は、カバンからノートを取り出して上司に伝えたいことを書き記した。 「今日朝から、突然耳が聞こえないのです。」 僕の異常に上司が気が付いてくれて、上司も同じノートに質問を書いてくれた。 「いったいどうしたの?  大丈夫か?」 僕は上司に、急いで耳鼻科の医者に行きたいという話を伝えて、今日も会社を休むことになるということを伝えた。 すると上司は僕のことを心配してくれて、仕事のことは気にせず、さっそく病院に行くようにと言ってくれた。
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