第18章(鑑定魔導士と固有魔導)仮

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数日が過ぎたある日のことだ。 気持ちの整理がつき、皇魔族対策として掲げられた政策に積極的になり始めていた俺のもとへハンターズギルドから保護優先度の高いとある能力を持つ人物の発見報告が入った。ハンターズギルドに所属するハンターがその人物を見つけ出し、現在は高ランクのハンターがターゲットの護衛をしているとのことだ。 俺個人としては初めて会う人物だが、彼女が所持する能力は世界的にも有名なものである。しかし、その能力を所持していた代表者は老衰により命を落としたと聞いていた。 最悪の場合、探しても見つからない可能性まで危惧されていたが全世界にパイプラインを築いているハンターズギルドが総力を挙げて目的の人物を捜索した結果、その人物は人さと離れた山奥で数名の子供たちとひっそりと暮らしていたとのことだ。 僅かな期間ではあったが、山奥の森の中にある養育施設で暮らした経験の俺は、眠らせていた過去を思い出しながらその場所へと向かった。 「ふっふっふ! どうやらあそこのようね…」 アレス=エレクシオンは頼んでもいないのに勝手に同行したハンターのリリアナ=セイジュローに今更の疑問を投げかけてみた。 「何故ついてきた?…」 「ハンターズギルドが見つけ出したのよ!」 そんな誇らしげに言われても、確かに仰る通りだが、別にリリアナが手を回して見つけ出したわけでもないしそんな報告も受けていないため何故彼女がどや顔をしているのかわからない。ユノに近しい空気を感じる。やはり彼女の存在はなかなかどうして地雷なのだろう。優秀な部分は文句の付け所が無いくらい優秀なのだがな。黙っていればというやつである。 残念な天才は放っておいて俺は目的地へと足を進める。 「あ、こら! 私たちが見つけ出したのよ!」 「お、そうだな。でかしたぞー…」 「何よその気の抜けた返答は!?」 他にどう返せば正解だったのか聞きたくも無いな。 しかしまぁ、こんないかにもな森の奥で今までよく無事に生活を送れたものだ。この地点は完全にユグド王国が各国に納めた結界魔導具の範囲外だぞ。
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