年下ワンコとご主人様

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 いつものように甘えてくる彼に、 「そろそろ甘やかすのは終わりな」  仕事に慣れてきただろうと冷たく接する。まるで捨てられた子犬のように見つめてきたが無視だ。 「なんで、今まで優しくしてくれたのに」  いきなりの豹変した態度に戸惑う久世に、彼女がいる癖に、と、怒りさえ浮かんでくる。  それはただの八つ当たりに過ぎないが、その時は自分勝手な怒りを久世にぶつけていた。 「甘ったれたこと言ってるな! もう少しで研修も終わりなんだ。この先、そんなんじゃ困るだろ?」  これで自分の事を嫌いになってくれたらいい。  なのに、 「俺の事を思って、なんですね」  何を勘違いしたか目をキラキラとさせて解りましたと頷いた。  自分に都合の良い解釈をする久世に、流石に呆気にとられた。 「波多さん、良い人ですね」  大好きですと、余計に懐かれるようになってしまった。  何度、つれない態度をとってもめげることがない。  久世という男のしつこさにはウンザリとする。  そんな二人を、周りの同僚は「犬と飼い主だな」と言い、久世はその言葉を気にすることなくまとわりつくので、それが定着してしまったのだ。
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