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どうしたら波多の全てが手に入るのだろう。
それを相談できるのは八潮しかいないと、忙しい事は承知のうえで相談にのって欲しいと頼む。
「いいよ」
おいでと手を引かれてミーティングルームへと向かう。
「で、どうしたの?」
「実は、ですね。波多さんの事なんですけど……」
「波多君? 何、ご主人様が意地悪すぎるって」
「いえ! 違うんです。俺、波多さんの全てが欲しいんですけど、どうしたら良いと思います?」
「え、全て? それはどういう意味でかな」
八潮は驚きながらも、どこか楽しげな表情を浮かべている。
「波多さん事、どこもかしこも舐めたいんです」
「それは、ますます犬っぽいというか。そうだねぇ、それは波多君に正直に言うしかないね。無理やりに舐めるもんじゃないし」
嫌われたくないんだろうと言われ、昨日、既に無理やり舐めてしまった事は黙っておいて「はい」と頷く。
「正直に言って、嫌だと言われてしまったら?」
「おや、君はすぐにはあきらめる子じゃないでしょう? がんばりなさい」
「はい、頑張ります!」
「うん、いい子」
八潮に頭を撫でられるのも好きだ。とても優しい手をしているからだ。
しきりに頭を撫でられ、気持ち良くて瞼がとろんとし始める。
「おや、眠くなってしまったのかい? いいよ、少しお休み」
「ふぁい、おやすみなさいかちょ……」
意識が落ち始め、頭を抱えられる。
暖かいなとウットリしかけた時、ドアをノックする音が聞こえ、八潮が中に入るように言う声が聞こえる。
「なっ、おい、てめぇ、起きろ、久世!」
と怒鳴られて、ビクッと跳ね起きる。
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