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◇…◆…◇
二人きりで残され、波多は適当な席に腰を下ろす。
「八潮課長との事、三木本が怒るのも無理ないぞ。それでなくともあの人は仕事をし過ぎなんだから」
昼休みなのだから久世が誰と過ごそうが構わない。だが、相手が八潮なら話は別で、過労で倒れて入院したことがあるからだ。
「心配なんだよ、八潮課長の事」
「上司として、心配って事ですよね? それだけですよね!」
何度も確認するように聞いてくる久世に、しつこいと頭を叩く。
「それよりも、八潮課長に、何、甘えてんだよ」
と睨みつければ、何を思ったか「俺にやきもちですか?」と落ち込む。
面倒なのでそれには答えずに、顎を動かして話を続けろという具合に促す。
「波多さん事、どこもかしこも舐めたいんですって、言いました」
「な、なんだって!?」
そんな事を素直に相談するなんて、自分まで恥をかいた気分になり、ムカついて背中を何度も引っ叩く。
「わぁ、やめてください。だって、俺、波多さんの全てが欲しいって、その気持ちがとまらないんですぅ~!!」
と言われ、背中を叩く手が宙で止まる。
「な、なっ」
躊躇う波多に、追い打ちをかけるように。
「波多さん、貴方の雄が垂らす蜜の味も知りたい」
と、性的な意味合いも含めた言葉を口にされ、色々な感情が交じり頬が熱くなる。
そうだ、きっと久世は自分の欲を満たすためだけに言っているに違いない。そう思ううちに、なんだか腹が立ってきた。
「お前にだけはやらんッ」
「波多さん」
後ろから抱きしめられ、離せと肘で腹を突く。だが、強い力で抱きしめられて身動きが取れない。
「波多さん、欲しい」
熱く息を吐き、そう懇願して耳を舐められた。
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