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この頃、波多翔真波多にはお気に入りの喫茶店がある。
オーナーである江藤は自分よりも二つ上の三十二歳。
彼から直接聞いたわけではないが、波多と同類だろう。それについては何となく気が付いてしまうもので、きっと彼も同じだと思う。
彼の傍はとても癒され、もしも彼にパートナーがいないのなら立候補したいと思い、まずは近づくことからと名前を聞きだしたのはつい最近だ。
名前は知っていても、まだ二人は喫茶店のオーナーとその客という間柄でしかない。
それでも、あきらかに交わす会話は増えてきた。
「波多さん、そろそろ会社に戻らないと駄目じゃないですか?」
「あぁ、もうそんな時間か」
ニッコリと微笑む彼に、名残惜しいが席を立つ。
「また来ますね」
「お待ちしております」
その言葉に浮かれつつ、店を出て会社へと戻っていった。
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