神様の贈りもの

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1歳の誕生日。 吾輩もこの日だけは特別の日と思え、いつにも増して帰宅を急いだ。おっと、その帰りがけにデパートに寄りワンちゃん用のケーキを買った。 家族みんなで「ハッピーバースデイ・トゥー・ユー」を歌ってケーキが出た時のトゥッティーの戸惑った様子がおかしかったけど、そこは食いしん坊のトゥッティーはペロリとケーキをたいらげた。それを家族は目を細めて見ていた。 2年が経った。 この頃にはもう立派な成犬となり運動量も半端じゃなくなっていた。 歩いて30分ほどのところの小高い山にある「塚山公園」で自由に遊ぶのが大好きだった。そこからは東京湾が扇のように広がり、赤を基調とした京浜急行の電車が疾走するのが見え素晴らしい景観であった。特に桜の時期は絶景で、トゥッティーも走り回るだけでなく、時々この景観を味わうように眺めていたものだった。 3年が経った。 車に乗るのが大好きで、ヤシの木並木が連なる南国情緒たっぷりの「海岸り」、リゾート気分満点で洒落た「観音崎京急ホテル」、ガラス張りでモダンな「横須賀美術館」などを車窓から身を乗り出すようにして眺めていた。 さあ目的地の「観音崎公園」に到着するや否や一目散に山を駆け上がって行く。先祖がウサギ狩りだったというルーツなので、やはり山に入ると本能が騒ぐのかもしれない。 4年が経った。 季節になると色とりどりのバラが咲き誇るバラ園が名物の「ヴェルニー公演」には毎日のように散歩に出かけていたが、何とビーグルの友達が出来て実に楽しそうに遊んでいた。 「塚山公園」、「観音崎公園」に行くのも一緒で競うように走り回って嬉しい出来事であった。 もう完全に子供っぽさはなくなったけど、愛情はますます増すばかりだった。 5年が経った。 冬の寒さにはへっちゃらなのに夏の暑さにはもうぐったりでかわいそう。暑さしのぎに玄関の床にお腹をぺったりつけて寝ていたり、それなりに工夫しているようだったが舌を出してフーフー言ってるのには見ている方が辛かった。 秋は山の紅葉の中を散歩。見事に色づいたモミジが風に揺れる。トゥッティーは落葉で赤く染まったカーペットの上を駆け回る。 冬がやってきた。寒さには強いのだが布団の中に潜るのが好きだった。布団じょうずに丸めて入り込み黒い鼻だけ出していると、パンのチョココロネみたいで可愛かった。
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