神様の贈りもの

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10年が経った。 お腹に腫瘍が見つかり手術を受けることになった。 吾輩はもう気が動転して心配で心配で食事ものどを通らないほどだった。仕事の帰りがけに病院に駆け付け様子を聞いたところ、手術は無事成功したとのことで少々安心した。翌々日には経過良好ということで何事も無かったように退院してきた。嬉しい復帰だがすごい回復力に驚いた。 たった2日ばかり居なかっただけなのに、その時間がものすごく長く感じ、その存在感を改めて痛感した。 大事な大事なトゥッティーちゃん。 14歳の誕生日。 最近体力の低下が気になり始めていた。あんなに食いしん坊だったのに、時々ご飯を残すことがあり心配した。 ただ、連年通り誕生日はケーキでお祝いし、おいしそうに食べてそれなりに元気だったので家族中安堵した。 運命の日、一番悲しい日、4月1日。 それは突然やってきた。 14歳の誕生日を終えて約1か月後のことであった。 運命の日の前日、かなり体調が悪いようなので病院で診察してもらい点滴などでどうにか持ち直したように見えていたが、翌朝には大好きな散歩にも出ず、午後からは嘔吐を繰り返したので慌てて病院に急いだ。 しかし容体は想像よりもひどく必死に手当てしてくださっていた獣医さんが首を振ったのを見て最期であることを悟った。 立ち会っていた家人達は号泣したが吾輩は悲しいという感情が湧かず空っぽの状態だった。 家には抱いて帰る時の体の重みが空しかった。この重みこそ14年間一緒に生活してきた重みかと思った。 4月1日、エイプリールフールであってくれと必死に祈ったが息は吹き返さなかった。 顔はしっかりしていて、ただただ寝ているようにしか見えなかった。でも、いくら話しかけてもこたえてくれない。 夜は最後の夜として一晩中抱きしめていた。 この子は14年もの間、可愛くて、いたずらで、食いしん坊で、甘えん坊で、みんなを楽しませ、喜ばせ、笑わせて、我が家族に幸せをもたらし一生の仕事を終えて天に召されたのだ。
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