第1章

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 睨みあったまま三十秒、そして一分と時間が過ぎる。周りがざわめきはじめるのを俺は意識の片隅で感じ取っていた。だが周りなどどうでもいい。この戦いをどうするかだ。  苦しくは無いのか、改めて主将の顔を見つめた。横金の向こうで彼女の顔は既に真っ赤に染まっている。だが、その目は笑っていた。目が合った瞬間、彼女の想いが俺の頭の中に広がる。 『嬉しい!嬉しい!嬉しい!嬉しい!嬉しい!嬉しい!嬉しい!嬉しい! やっと全力で戦える相手が現れた』  主将が構えた竹刀の剣先をわずかに左にずらす。 『さあ いらっしゃい』  気付いた時には、俺は既に飛び込んでいた。 「「メェェェェェン」」  ふたつの声が重なる。竹刀が主将の面を捉えたと思った瞬間、脳天に衝撃を受け、全てが真っ白になった。
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