語り部

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 むかし、むかし  あるところに、小さな村がありました。  平穏な日常の中、村人は幸せに暮らしていました。  ある日のこと、人々が異形の鬼魅になる出来事が起こります。  鬼魅になった人間達は、村人を次々に襲い始めた。  人を喰い体を引き裂く蛮行に、村人は為す術もなく命を奪われます。  そこに、一人のお侍様が訪れたのです。  心から慕わしい、きれいな青年でした。  その手には、一振の太刀が。  青年は太刀を抜くと、鬼魅達に立ち向かって行きました。  それは、あまりにも恐れ多いことでした。  鬼魅達は、この世に君臨する《王》の手の者だったのです。  誰も《王》に逆らう人はいません。  でも、青年は太刀を手に、鬼魅を斬り《王》にすら刃を向けました。  それは宿命だったのかも知れません。  なぜなら、青年もまた《王》の名を持っていたのです……。
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