消えた家宝

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   書斎には一男以外にも誰かがいるようだ。        「家宝が消えてしまったというのは ……」   「……ああ。本当の事だ」  「確かにこの奥の金庫に入れてあったのですか?」  「ああ。一度だけ解錠した事があるが それはもう十四年も昔の事。    海の眼の恐ろしさを感じ取ってからは誰の目にも触れてはいない」    「しかし、何故貴方は家宝がある金庫に再び手を伸ばしたのですか?  恐れていたのなら尚更……」  「いや、意味は無いのだよ……探偵君」    家宝……        それに…………海の眼。  初めて聞く二つの言葉……。  ジャズに紛れて聞こえて来たのは一男と探偵の会話だった。  その会話に麗子は衝撃を隠せないでいた。
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