消えた家宝

12/12
前へ
/33ページ
次へ
   古株の牧田に一喝された女中達は渋々 と各自割り当てられている仕事場へ戻って行った。  女中達の中では牧田に逆らえる者は誰一人としていなかった。  しかし、女中達が頼れる存在である一方で牧田の厳しい態度に不満を感じ、陰口を叩く者も少なからずいたようだ。 *********************    麗子はまだ消えた家宝の手掛かりを追 っていた。  家宝行方不明事件が起きてからというもの、何か見つけ出すヒントがあるかも知れないと、参考までにミステリー小説を夜な夜な読んでいた麗子。  読み進めるうちに、不可解な事件の裏には不可解な死が起きる事が解った。  死……と聞いて、一番に思い浮かぶのは麗子の母親、新沼 三千子。  今から十四年前に、麗子を産んで直ぐに病死したと父親の一男からは聞かされていた。    でも証拠はなかった。  死を偽造?まさか……。 けれど、お父様が家宝を怖れていたのとは辻褄が合う………。    そして、もう一つ解った事とは……  消えた物はそう遠くには行かない、意外と近くにある可能性が高い。  ……という事はやはり、屋敷内の何処かに!?  ミステリー小説でヒントを得た麗子がまず調べに向かった先は、一階の西側奥にある書斎部屋だった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加