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「……何か様子が変よ……麗子。
もしかして、具合が良くなくて?
それなら……」
「違うの!」
マリンが言い終える前に麗子が急に口を突いて来た為、少し驚いた表情を浮かべるマリン。
「……違うのね。それなら良かった!
麗子、何だかいつもと様子が違う感じがしたから少し心配したわよ。
でも、こんなに暑いのに外でいつまでもじっとしてるなんて……
綺麗な真っ白い肌が焼けてしまうわ」
マリンは病弱な麗子をいつも気にかけてくれた。
健康な体を持つマリンを羨ましくなる時もあったが、麗子はマリンの優しさにいつも救われていたのは事実。
「ええ。そうね。
でも……あの無意味なパーティーには参加したくないし、なるべく近付きたくないの……」
「わたしもよ。ふふふ……
……わたし、“秘密の場所”を知ってるの
。
特別に麗子にだけ教えてあげるわ」
そう言い終えると、マリンは麗子の手首を掴む。
「えっ、待って! ねえ……ちょ、ちょっとっっ、マリン!?」
「ふふ。直ぐ着くから心配しないで」
消えた家宝の事をマリンに話そうとしていた麗子であったが少々強引なマリンによって、話す機会を奪われてがっかりしながらも折角別荘に来たんだから……と気持ちを切り換えて、未知なる場所への誘導に不安と期待を膨らませた。
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