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海沿いの山を下って歩く事数分。
つーんとする潮の薫りが強くなる中、
マリンに誘(いざな)われて着いた先……
そこは……小さな薄暗い洞窟だった。
「はあ…はあ…はあ……
マリン………
……こ、此処なの?」
「そうよ。良い所でしょう?
此処からの海の眺めは最高なのよ」
そう言うとマリンは持っていた白いレースのハンカチーフを敷き洞窟の入り口にストンと座った。
内心、こんな薄気味悪い所は嫌だった麗子であったが足場が悪い岩場を降りてきて呼吸が乱れていたので、嫌々ながらではあったが一休みしようと自前の薄いピンクの花柄のハンカチーフをポケットから取り出すと、マリンの隣に敷いて座って見る事に。
「わああ……」
麗子が座って前方を見た途端、思わず声が漏れる。
そこからの眺めはマリンの言う通り、格別だった。
別荘の二階のベランダから眺める海も綺麗で好きな麗子だったがそれとはまた違う景色。
間近で見渡す限り光が反射し、キラキラと宝石箱のような青い海が一面に広がる。
「綺麗~」
「ふふふっ。
身体が弱い麗子を連れて来るのは少し不安だったけれどね。
最近の麗子……女学校でも上の空だったじゃない?
何かわたしにも言えない悩みでもあるのかと思って……
心配してたのよ」
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