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麗子とマリンは同じ女学校に通う同級生でもある。
近くで見ていたマリンだからこそ、麗子のいつもとは違う様子に薄々勘づいていたのだろう。
「マリン……。
ええ、実はね……
マリンに聞いて欲しい事があるのよ」
麗子は今まで起きた身の回りの出来事を洗いざらいマリンに話した。
そして、つい最近ずっと気になっていた書斎部屋を調べに行った事も……。
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母・三千子の十四回忌式典の一週間前に遡る。
女学校が午前中で閉校し、昼間には屋敷に帰宅した麗子。
父親が帰宅する時間迄は十分(じゅうぶん)、時間に余裕がある麗子はこの日に書斎部屋を探ろうと決めた。
幸い屋敷の殆(ほとん)どの女中達はこの日、一週間後に迫っていた式典の準備をする為、ここから四時間半はかかる別荘の方へと出払っていた。
人目を盗んで探偵紛(まが)いの事をしようと目論(もくろ)む麗子にとっては、頼んでもみない絶好の機会だ。
書斎部屋の前まで女中達に見つからず難なく来れた。
やや緊張気味の麗子は生唾(なまつば)をゴクリと飲み込み、取っ手を右に捻ると部屋の中へと入って行った。
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