呪われた首飾り

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一向に手がかりがないまま時間だけが経っていく。 いつもように花が咲き乱れる中庭で絵を描いている麗子。 家宝と思われる首飾りで頭の中はいっぱいになっているせいか描く絵も首飾りだ。 絵の具で色を入れていると、牧田がやって来た。 「御嬢様、御夕食をお持ち致しましたよ」 「麗子御嬢様……?」 考え事をしながら絵に没頭していた麗子は牧田が声を掛けても気づかないでいた。 そんな麗子に牧田は近づき絵を覗いてみた。 「まあ。素晴らしい。これはもしやブルートパーズの首飾り……」 麗子は傍で話す牧田に少々驚きつつも今耳にした言葉に好奇心が湧いた。 「ブルートパーズ……?」  「ええ。この絵のモデルは三千子様が身につけていらっしゃったブルートパーズの首飾りで御座いますね」 「……そうよ」  「左様で御座いましたか……。御嬢様も家宝が行方知れずなのを御存知だったのですね」
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