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「……ええ。ちょっとね……
でもやっぱりこの首飾りが家宝だったのね」
その言葉にハッとした牧田は表情を一変させた。
「……申し訳御座いません。話が過ぎました。もう私めはこれにて。
御嬢様、御夕食の支度が整っておりますのでどうぞ召し上がって下さいませ。……では」
そう麗子に告げると牧田はその場を立ち去ろうとしたが、麗子に引き留められた。
「待って!牧田……もう少しその話を聞きたいわ」
「しかし御嬢様……家宝の件は御嬢様に心配させないよう旦那様に固く口止めされてまして……」
「もう聞いてしまったのだからそんな事どうだっていいじゃない。私ももう十四よ。
新沼家の家宝の事なら尚更、知る権利があるわ」
「それでしたら、直接旦那様にお聞きになった方が……」
「あのお父様が話してくださると思う?いつだって子供扱いよ」
「解りました。
では先に御食事を摂られてから、私めの部屋で話しましょう」
根負けした牧田は溜め息混じりに麗子にそう告げた。
「解ったわ。
ありがとう牧田。
じゃあ急いで食べてしまうわね」
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