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夜食の時間が近づくと、寝巻きに着替えを済ませた麗子は、ある場所へと向かった。
そこは、屋敷一階の中心部にあり、季節の花が咲き乱れていた中庭だった。
生前……三千子も一日の殆どを過ごしていたと、牧田に聞いていた。
麗子を産んで直ぐこの世を去った為、母親との思い出が何一つ無い麗子だが、好む場所が偶然にも同じだったという共通点もあり、少なからず母親との結び付きを感じた大切な場所となっていた。
中庭に備え付けられている丸テーブルには既に夜食が運ばれている。
今晩は……ライスカレー、野菜サラダ、ハーブティー、フルーツゼリーといった洋食が中心のメニュー。
専属シェフが作るライスカレーは、具が全て溶ける程、長時間コトコトと煮込んである絶品もので、麗子の好物の一つでもあった。
「ふふっ。今晩は私の好きなライスカレーね。
うん……美味しい!!」
椅子に座ると好物のライスカレーを一口食べて微笑んだ。
食が細い麗子だが、好物が出た時だけは少しは食べる事が出来ていた。
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