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第一章~中間テスト~
1.
『欧美学園』(おうみがかえん)。
六月に入り、その二日目が『中間テスト』という苛酷な時期に入っていた。
五月一0日は『能力定期試験』。
その日もあって、六月の二日目という中途半端な日程に繰り上げたのだ。
とうぜん、欧美学園例外ではなく、どこの学園もそのハードな時期に入っている。
その学園のとある中等部。
一年全体のクラスはいま、理科のテストに取り掛かっていた。
一年四組に所属する茶髪の少女。星の形をしたヘアピンを付けている少女、"椎名杏梨"(しいなあんり)は頭を抱えながらテストの用紙を眺めていた。
眉を潜ませ、問題に目を傾けていた。
椎名杏梨は理科が物凄く苦手な教科と認識し、嫌々テスト勉強に取り掛かっていたが、結果は惨敗に陥っていた。
有機物も燃やすと発生する気体は何か?
物質そのものの量のことを何ていうか?
密度の単位の記号を書け?
こういう問題の文章を見るだけで目がクルクルと回り始める。ついには泣きそうな表情を出していた。
そんな彼女の様子を、近くの席に座っている泣きぼくろをしたポニーテールの少女、、"八木原千絵"(やぎはらちえ)は小さく嘆息をつき見守っていた。
彼女は、既に開始十五分後に既に終わらせていて、机に肘を置きながら暇を持て余していた。
彼女は勉強は熱心にやるタイプだ。
しかしそれでも理科だけはどうしても克服ができない。
例え暗記問題だとしても。
千絵(こりゃ残念な結果になりそうね…………あの子)
そう思いながらふと、温かい風を肌で感じつつ、小さく欠伸を漏らすのであった。
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