第一章~中間テスト~

3/19

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
3. 昼に入り、龍馬が通う小学校は給食の時間帯に入っていた。今週の当番の人達が給食室から今日のお昼の御飯を取りに行っている間、他のクラスの人達はそれを待つ事になっていた。 龍馬もまたその一人。 待ち呆けている間、白い薄着のパーカー服を着ている少年、龍馬はふと窓側の一番後ろの席にいる為、外に目を向ける。 この小学校の近くには、杏梨が通う中学校がある。この教室の窓からは、その中学校の校舎が見える様になっていて、龍馬はその校舎に目を傾けていた。 龍馬(そういや杏梨が通ってる学校じゃあ、いま何とかテストっていう時期に入ってるんだっけか?その為にずっと勉強してるんだよなぁ) その時、ブブブ…………ッと龍馬の懐からバイブレータの振動が鳴る。 龍馬は懐から携帯を取り出す。 噂をすれば、彼女からのメールだった。 メールの内容は、テストが終わった為、先に帰っておくという内容だった。 龍馬「ハハ…………ったく、わざわざ知らせなくていいのによ」 半ば苦笑しながら、『了解』と打って送信する。 「誰と連絡してるの?っていうか校内で携帯は禁止だよ龍馬君。学級委員長として放っておくわけにはいかないからなぁ」 ひょっこりと突然と現れたのは、このクラスの学級委員長である少年、アヤトだった。 龍馬「うぉっ!?いつの間にっっ!!?」 びくりっ!!と肩を震わせながら驚きの声を上げる。 アヤト「あはは、驚かせちゃった?ごめんねぇ。でも規律を守らない龍馬君が悪いよ」 流石は学級委員長のお言葉であった。 返す言葉も出なかった龍馬は苦笑いしか出なかった。 龍馬「ははは、わりぃな」 アヤト「まぁ今日は見逃すけど今度は気を付けるんだよ」 そうアヤトに注意されながら龍馬は懐に携帯をしまう。 そして数分経った後に給食当番が帰って来て、各自メニューを取りに行く。 本日のメニューはコッペパン、サラダ鶏の唐揚げに肉じゃが。紙パックの牛乳とデザートはカップのプリンであった。 プリンを見た瞬間龍馬は目を輝かせる。 実はこの少年はプリンが大好物なのである。 その時、それを見透かしたかの様に一人の少女が龍馬の机に自分のプリンを置いた。 「好きだったらあげるわよ。私のプリン」 そう言って渡してきたのは黒髪のロングヘアーをした少女。 「あの、その。今日も一緒に食べていいかしら?」
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加