サクラソウ

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そんな話をしていると、 授業開始を告げるチャイムがなった。 「あ、後で学校案内するね」 そんな言葉を残して、3人は自分の席に着く。 あの3人と友達に慣れたらいいなぁ。 そんな事を1人で思う。 「おい、藍月、これ」 そう言うと、佐川君は国語の教科書を差し出してきた。 ? これ、使えってこと? でも、そしたら佐川君の教科書なくなっちゃうじゃん。 授業中困るよね? こういう時って、机くっつけて、一緒に見るもんじゃないのかな? もしかして、机くっつけるのが嫌なのかな……。 前の学校では私の隣の席のクラスメイトが忘れものした時、 普通は隣の席の子に見してもらうのに、 私の隣の席の子はやだと言って、前の席の子に見してもらってた。 「おい、何ボーッとしてるんだよ。 おれ、授業中寝るから、遠慮すんなよ」 ……。 そう言うことか。 ダメだ。 最近前の学校の事があったせいか、 物事を悪く捕らえすぎてしまう。 もっと、ポジティブにならなきゃ。 私は黙って、それを受け取ると、 机をくっつけて、真ん中に置いた。 『ちゃんと授業聞いた方がいいよ』 そう書いた髪を見せた。 「そうか。おやすみ」 そう言うと、彼は机に突っ伏して寝た。 私の助言は綺麗に無視されてしまった。
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